非加熱蜂蜜(ローハニー)の効用
「ハチミツとは植物の蜜腺から分泌される天然糖類をミツバチが巣部屋に貯え、糖の転化、熟成の過程を経た甘味流動物質を適期、適法で採取したものである。」というハチミツの定義があります。※1
簡単に言ってしまえばミツバチが集めた花の蜜がハチの巣の中で熟成したものがハチミツということですね。
もう少し詳しく説明しますと、働きバチは花の蜜を採取し、胃の中に入れて巣に持ち帰ります。その際に酵素を分泌し、花の蜜は分解され成分が変化します。巣に戻ると巣に残っている働きバチに口移しで蜜を渡し、その際も酵素が加わり更に分解が進みます。
花の蜜は水分を含んだショ糖(=砂糖の主成分)ですが、ミツバチの消化酵素の働きでショ糖をブドウ糖(=最も吸収されやすい糖分)と果糖(=果物に多く含まれる糖分)に分解して巣に貯蔵します。
ブドウ糖と果糖に分解された糖は同じ量のショ糖よりも甘く感じるのが特徴です。
特に果糖はショ糖の1.5倍の甘さと言われており、果糖を多く含むハチミツを甘いと感じます。
爽やかな甘さが特徴のブドウ糖は、身体と脳のエネルギー源ですぐにエネルギーになります。すっきりした甘さが特徴の果糖は、天然の糖の中で最も甘く、冷やすことで更に甘みが強くなります。
花の蜜は、巣の中で花粉と混ざり、花粉に含まれるタンパク質やビタミン・ミネラルなどが加わるため、蜂蜜は栄養価が高いと言われています。7~8割がショ糖、ブドウ糖、果糖の糖類で、その他にビタミン類、アミノ酸、ポリフェノール、酵素、酵母、花粉粒、ろう質など多くの物質が含まれています。
これらの栄養素を加熱することなくゆっくりと目の細かい網で時間をかけて濾過し、瓶詰めしたものが非加熱蜂蜜です。
トカイ・プレミアム蜂蜜はゆったりと濾過をしています。
酵素が生きていますから、あまり温度の高いところで保存すると発酵します。白く泡がたっていることがありますが、これは蜂蜜が生きている証拠です。
非加熱蜂蜜の効用は主に3つあると言われています。
1.腸内環境を整えて体を快調に
非加熱蜂蜜の効果でまず挙げられるのが腸内環境を整えるということです。
非加熱蜂蜜には「グルコン酸」という大腸まで届いてビフィズス菌を増やし、悪玉菌を抑える成分が含まれています。グルコン酸は身近なものでは大豆や味噌などに含まれていますが、大豆や味噌の約30倍ものグルコン酸が非加熱蜂蜜には含まれていると言われています。
グルコン酸の他にも乳酸菌やオリゴ糖などお腹に優しい成分も含まれているので、根本的に腸内を綺麗にしてくれます。
腸内フローラが整うことで便秘やがん、アレルギーの予防や軽減に繋がる効果があると言われています。
2.免疫力アップと疲労回復
非加熱蜂蜜は、栄養素がしっかりと生きている状態です。
そんな非加熱蜂蜜を摂取すると生きたままの栄養が体の中を回り、酵素やビタミン、ミネラルが体内を活性化します。代謝をアップさせ、免疫力を高める非加熱蜂蜜は健康な体を作り出してくれるのです。体全体が元気になるので美肌効果も十分期待できます。
また、ブドウ糖や果糖は体内に入ると速やかに吸収され、胃や腸に負荷をかけることなくエネルギー源に変換されます。
最近疲れがとれないなぁとお悩みの方は非加熱蜂蜜で疲労回復を図ってみてはいかがでしょうか。
3.質の良い睡眠
質の良い睡眠のためには「肝臓グリコーゲン」という成分が必要ですが、非加熱蜂蜜は通常のはちみつと比較してこの肝臓グリコーゲンが多く含まれているそうです。肝臓グリコーゲンが増えることによって良質な睡眠を取ることができるため、睡眠にお困りの方は寝る前の一さじがおすすめです。
※1石川県立大学生物資源環境学部食品科学科 教授 榎本 俊樹: ハチミツの成分特製;化学と教育 67 巻 3 号 2019 年