ブドウの房に小さいブドウの粒がぎっしり詰まり、長く垂れさがっており、房の先が跳ね上がっている為に羊の尻尾に形が似ていることからJuhfark(羊の尻尾)と呼ばれています。
ハンガリーで最も古いブドウ品種の一つと言われています。
ユファルクの効用
ユファルクは日本であまり知られていないブドウ品種ですが、並外れた力を持っていると言われています。昔、ショムローのワインは貧血、腎臓や肝臓の病、消化器疾患等、あらゆる病気を治癒すると考えられていました。当時、ショムローのワインはワイン店と同じように薬屋にも並んでいました。
ユファルクは更に、非常に謎に包まれた威力を持っているとも言われていました。結婚したカップルが初夜にユファルクのワインを飲むと男の子を授かる可能性が高くなると思われていたことから「初夜のワイン」と呼ばれていました。
ハプスブルグ家の人々や英国ビクトリア女王でさえも跡取りの男の子を授かる為に、ショムローのワインを飲んだそうです。この話が真実かどうかは今では定かではありませんが、統計的にショムロー近郊では他のハンガリーの地域よりも25%男児の出生率が高いということがユファルクの不思議な力を証明していると言えるのではないでしょうか?
ユファルクの栽培の難しさ
ユファルクは気難しいブドウ品種で、優れた造り手からは生き生きした、レモンや熟したピーチ、ルバーブの味わいのあるクリーミーなワインができますが、一歩間違うと酸っぱくとがった酸味が目立つ味わいのないワインになってしまいます。
果皮が薄く、カビ菌や霜に弱く、日光をたっぷり浴びないと完熟にいたりません。その為、暖かく風通しのよい、日当たりのよい場所で育てないと、強烈な酸味を持った味わいのうすいワインになってしまいます。また収量を落とさないとエレガントでバランスのとれた香り豊かなワインができません。
ユファルクは栽培の難しいブドウの一つです。その為、あまり好んで栽培されなくなったのかもしれません。
近年になって、ショムロー周辺でユファルクを栽培する農家が増えてはいるものの、まだ150㌶以下の栽培面積で、収穫量はまだまだ少ないです。
ユファルクのワイン
ユファルクの燃え立つような特徴と高い酸度からユファルクから造られるワインは男性的なワインと呼ばれています。
ユファルクは土壌を反映しやすい品種で火山性土壌、ショムローの玄武岩を含む土壌との相性がとてもよいようです。石灰質土壌で育ったユファルクからは軽やかで香り高いワインが生まれます。
通常は辛口に仕上げられることが多いですが、造り手によっては酸とのバランスをとる為、数グラム糖度を残すことがあります。
【特徴】
➀長期熟成のポテンシャルがある豊富な酸
➁複雑で豊かなアロマ
➂火山性土壌と高相性。土壌のミネラルを忠実に反映する。
トルナイ・プレミアム・ユファルク2019
白桃やレモンのフレッシュな果実とアーモンドの香ばしい香りや木樽由来のスモーキーな香り。フレッシュなフルーティーさと塩味、樽のウッディな味わいが複雑な味わいを生み出しています。品種の特性からくる酸味と塩味のコンビネーションは、驚きの新しい味の発見となるでしょう。熟成のポテンシャルのある白ワインです。50%木樽50%ステンレスタンクで4ヶ月熟成
【合わせる料理】
スモークサーディンのサラダ、塩麴を使った鶏肉や豚肉の焼き物、シャルキュトリー(パテ、テリーヌ、リエット、ハムやソーセージなど)
トルナイ・ワイナリー
1946年よりトルナイ家はショムロー山の麓でワイン醸造に携わっています。
ショムロー山は平野から突き出したようにそびえたつ火山性土壌の為、収穫するブドウ
から造るワインはミネラル分を感じられる独特な味わいになります。死火山ショムロー山の日当たりのよい斜面にワイナリーが所有するブドウ畑は風通しもよくユファルクには最適な場所で、最高品質の完熟ブドウを収穫することができます。
0.5㌶以下の小さなブドウ農園からブドウ栽培とワイン醸造が始まり、わずか3代で56㌶のブドウ畑を所有するようになりました。1997年、2003年、2009年にブドウ樹を植樹しました。虫がつかないように風通しをよくしたり、ブドウに日があたり色づきをよくしたり完熟するように、葉を落とし、間引きをして収量を減らすことで、質のよいブドウを収穫できるようにキャノピーマネジメントをしています。トルナイ・ワイナリーの基本的な考え方「環境の中での共生という観点から人間ができるのは土壌、気候、その他全ての環境的要素にブドウが適合できるように手助けをしてやること。全てはブドウ次第。」に基づき、ブドウ栽培の工程は行われています。
現当主トルナイ・タマーシュさんの先代はユファルクの類まれなる特徴にポテンシャルを見出し、ユファルク栽培の復活に多大な貢献をしました。タマーシュさんは先代の思いを引き継ぎ、素晴らしいワインを造り続けています。