セント・アンドレア

「エゲルはハンガリーワイン産地の中でも最も刺激的な地方であり、この地でワイン作りができるのは非常に幸せで感謝すべきことです」セント・アンドレアの醸造家ルーリンツ・ギョルギ氏はエゲル郷土愛に溢れています。

「同じエリアで赤ワインと白ワインを造るというのは、非常に野望に満ちていると思います。私たちはハンガリーのワイン醸造の伝統に基づくと同時に今日の質の高いワイン造りの要求を満たすようにテロワールを活かしたワインを造ろうと思っています。ハンガリー古来のブドウ品種オラスリスリング、ハールシュレヴェリュー、フルミント、カダルカ、ケークフランコシュにこだわり、テロワールの特徴を生かしたワイン作りをしています。また、パーセル(区画)を更によく理解し、ハートとソウルでそれぞれの品種に合うようにブドウの栽培方法を改善し続けています。」

 セント・アンドレア設立

セント・アンドレアが設立されたきっかけとなったのは、ルーリンツ・ギョルギ博士がまだエゲル最大のワイナリーで働いていた30歳になったばかりの頃です。博士が好きなカベルネ・ソーヴィニョンで造ったワイン、「エグリ・カベルネ・ソーヴィニョン1997」が国際コンクールでどう評価されるのか気になり、まだ存在しないセント・アンドレアの名前で1999年エゲルのワインコンクールに参加したことがきっかけです。結果は金賞受賞。審査員は、この素晴らしいワインを造った、聞いたことのないワイナリー、セント・アンドレアのオーナーは誰なのか?と大騒ぎになり、噂が噂を呼びました。

ワイナリーの名前セント・アンドレアはセント(聖)という接頭語がワインの情熱的で、歴史的、知的な価値を表していると考えたことと、何よりも世界で最も大切な奥様の名前がアンドレアであったことから、ルーリンツ博士がワイナリーの名前にしたそうです。 

 

セント・アンドレアは2002年に設立以来、ハンガリーワイン界の新星として、数々の賞を国内外で受賞しており、その記録は破れないと言われています。2007年にハンガリー共和国よりワイン醸造の功績を称え勲章を受けています。また、2009年にはハンガリーで最も優れたワイン醸造家に選ばれています。
主任醸造家ルーリンツ・ギョルギ氏は伝統を大切にしながらも時代の要望に応えるべく、最新の技術も取り入れながら常に試験的なワイン作り続けています。

             

醸造家

ルーリンツ・ギョルギ博士

ルーリンツ・ギョルギ博士は人柄がよく優しいので皆から好かれる、とてもまれな人物と言えます。伴侶であるアンドレアさんと人の子どもたちと平和で調和のある家庭を築いています。そしてその平和と調和は彼の造るワインにも反映されています。ワイン愛好家やワイン業界関係者は、彼のエゲル・スタイルではあるけれども独自の非常に洗練されたモダンなワインの持つ、素晴らしい酸、澄んでいてフルボディであってもジャミ―にならない上品さ、往々にして感じられるミネラルや凝縮感を高く評価しています。(Magazine Borigo 2010)

博士はハンガリー・ワイン界で一目置かれる存在でありながら、非常に謙虚な方です。そしてワインについて「ワインは神の愛を具現化したものなのです。つまり神が創造された世界の多次元に渡る奇跡といっていいでしょう」と述べています。神の前にギョルギさんはワイン醸造に全身全霊を込めて向き合っています。

 

ルーリンツ・ギョルギ・ジュニア(息子)

ワイン業界でこんなに心が広く、知識に貪欲で、自分勝手なところがなく、情熱的な若者は珍しい。既に知識が豊富で素晴らしいワインを造っているにも関わらず、ワイン醸造に対する敬意からくる謙虚さや腰の低さからか、まだ彼の存在はあまりよく知られていません。
しかし、一旦彼の存在が知られるようになれば一気にスターダムを駆け上がることになるだろう。その時はそんなに遠い将来ではないだろう。(Kovács Pál – Debreceni Borozó Magazine 2015
 

 

エゲルの土壌とブドウ園

ワイナリーとブドウ畑のある、エゲルサロークは有数のワイン用ブドウ栽培地域で、350㌶以上の土地がブドウ畑として開墾され、多くは家族経営でワイン醸造とワインツーリズムに携わっています。
エゲルサロークの南側には、地中深くから湧き出る温泉があり、65~68度の薬効のあるミネラル分に富んだ天然の温水はギザギザした石灰岩の白い層を絶えず作り出し、「塩の丘」と呼ばれ、印象的な景観をつくっています。何年もの間、石灰岩の丘は周りの地域のシンボルでありトレードマークとなっており、この景観はヨーロッパには珍しいものです。

エゲル地方のワインは、生き生きした酸、リッチなアロマ、程よいタンニンを持ったエレガントで冷涼な地域のワインの特徴を持っています。エゲルの土壌が肥沃であり、強い個性を持ち多様で非常に複雑なものであることもエゲルのワインに影響を与えています。

火山性の下層土、流紋岩質凝灰岩は褐色土壌と粘土を含んでいます。石灰、スレート、多孔性のゼオライト、粘土や炭酸カルシウムの混合したマール、砂岩など特徴のある岩石がエゲルの土壌には含まれています。土壌の構成成分がアロマやワインの構造に多大な影響を及ぼします。

火山性の土壌がブドウ畑の表面を薄く覆っている場合、ミネラル豊かで、固くしまったワインになりますし、表面を厚く粘土が覆っていると重厚感のある味わいのワインになります。

 

NAGY-EGED-HEGY(ナジ・エゲド・ヘジ) エゲル

ハンガリーで最も標高の高い場所にあるブドウ畑です。
斜面の畑にはほとんど90度の角度で日が差し、ごつごつした石灰岩を日光を反射させ、土壌の温度が上がります。水はけも良いブドウ畑です。

栽培ブドウ:ケークフランコシュ、カダルカ、チョーカ、ピノ・ノワール、シラー、メルロ、シャルドネ、フルミント

NAGY-EGED(ナジ・エゲド) エゲル

ナジ・エゲド・ヘジの麓にあるブドウ畑。石灰岩の上を腐植を豊かに含む黒い腐植土が覆っている土壌です。

栽培ブドウ:ケークフランコシュ、メルロ、カベルネ・フラン、シャルドネ、ハールシュレヴェリュー

 

BOLDOGSÁGOS.(ボルドグシャーゴシュ) エゲルソーラート

1300万年前の流紋岩の層に小石や粘土の層が入り、南・南東向きの斜面にあります。

栽培ブドウ:ハールシュレヴェリュー、ヴィオニエ、ピノ・グリ、レアーニカ、オラスリズリング、ソーヴィニョン・ブラン

 

FERENC-HEGY(フェレンツ・ヘジ) エゲルサローク

エゲルサロークでも最も名高い畑。非常にやせた土地でワインにエレガントな軽やかさを与えます。東・南東向きの斜面です。

栽培ブドウ:ピノ・ノワール、シャルドネ、ケークフランコシュ

 

MAGYALOS(マジャロシュ) エゲルサローク

エゲルサロークの北側に位置し、流紋岩の上を厚く粘土を多く含む層が覆っています。南・南東向きです。

栽培ブドウ:カダルカ、ケークフランコシュ、メルロ

 

HANGÁCS.(ハンガッチ)デムイェーン

非常に多様な土壌に恵まれた畑はデムイェーン村にあるハンガッチです。起伏もあり南向きの畑で、温泉に堆積するトゥファという多孔質の石灰石からなる下層土の上を薄く粘土状の層が覆っています。ハンガッチの畑で収穫されたブドウからできるワインは凝縮したフレーヴァー、引き締まったものになります。

栽培ブドウ:ケークフランコシュ、カダルカ、メルロ、ピノ・ノワール、カベルネ・フラン、ハールシュレヴェリュー、ソーヴィニョン・ブラン

 

  

 

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