グランド・トカイ


グランド・トカイの前身Tokaj Kereskedőház(トカイ・ケレシュケシュドゥ―ハーズ、トカイ商会)は1984年に国営ワイナリーとして設立されました。

その後グランド・トカイと名前を変更しました。今ではトカイワイン産地の中で最大のワイン醸造所として、トカイ地方で生産するワインの40%を生産し、40カ国に輸出しています。
2021年8月よりトカイ・ヘジャイヤ大学財団の傘下に入りました。

グランド・トカイはかつて、王族が所有していた伝説的な特1級ブドウ畑サルヴァシュ(Sazrvas)を所有しています。
グランド・トカイが誇る、5㎞に渡る2階建てのツェギ・セラーは500年以上昔に作られたもので、中東欧ヨーロッパ最大です。4つの採石場を地下でつなげてできており、アスーやサモロドニの熟成に最適な環境になっています。1868年ヴィンテージのトカイ・ワインがこのセラーに保管されています。通路の両側にはワイン樽が並び、慣れていない人が一人で入ったら、地下迷路に迷いこんだ印象を持つでしょう。

 

 

自慢のブドウ畑


セントヴェール ブドウ園・トルチュヴァ
セントヴェール・ブドウ畑はトカイ・ワイン産地の中央、 Erdőbénye(エアドゥベーニャ)と Tolcsva(トルチュヴァ)の間に連なる丘陵の南側の斜面にあります。丘陵の理想的な隆起と傾斜の特徴は冬・初春の霜からブドウを守ってくれます。

ワイナリーはブドウ畑を2003年に再整備し、1㌶あたり5,000本のブドウ樹を植樹しました。

黒色土壌に流紋岩が混ざった土壌は乾燥した夏場でも保水力があります。最上のロケーション、ミネラル豊富な土壌のおかげで、この畑で収穫したブドウからは非常に香り高く、バランスのとれた酸をもったブドウ、特にリンデンの花の香りがするハールシュレヴェリューを栽培しています。

 サールヴァシュ ブドウ園・タルカル
サールヴァシュの土壌はトカイ丘陵の南向きの斜面にあり、ティサ川やボドログ川で秋の早朝に発生する霧を残します。

このブドウ畑はトカイワイン産地の中でも最も素晴らしい場所にあり、1737年には「特1級」に分類され「極めて素晴らしいブドウ畑」と呼ばれました。この畑は何年にもわたり有名なラコーツィ家が所有し、1715年にはハプスブルグ家のものとなり、1918年までハンガリー王国の所有するブドウ畑となりました。

熱はレス土壌の特徴で、早く吸収され、平均よりも長い生育期間が期待できる土壌です。ブドウ樹の畝は丘のてっぺんから麓までのびていますが、畝の長さは斜面の向いている方向に合わせて長さが決まります。

ブドウ樹は中くらいの高さのコルドン方式で仕立てをし、密集して植樹することで収量を減らし、ブドウの品質を高めます。ボトリティス・シネレアがブドウを貴腐化するには最適な気候に恵まれています。

栽培ブドウ:フルミント、ハールシュレヴェリュー、シャールガムシュコターイ、クヴェルスールー、ゼータ

 クーヴァ―ゴー ブドウ園・マード
トカイで最もブドウ栽培に適した土壌に恵まれていることで有名なマード村にあるクーヴァ―ゴー ブドウ園は南向き、恵まれた収穫量、フルミントが貴腐化する確率の高い場所。1993年に1ヘクタールはたり5,000ブドウ樹になるように植え替えをしました。流紋岩と安山岩の混合の土壌はミネラル豊かな地表を形成し、熟成のポテンシャルのあるワインを造ることができます。

栽培ブドウ:フルミント

グランド・トカイの進化

2013年よりワイン品質改革という目標を掲げ、新醸造施設の建設、コーポレートイメージの刷新など、様々な改革を行い短期間に飛躍的な進化を遂げました。

①地理情報システムの導入
2013年にグランド・トカイで推し進められた品質向上プログラムのひとつとしてブドウ畑のポテンシャルやブドウ畑の環境を評価する地理情報システム(GISGeographic Information System)を確立しました。

ブドウ畑のポテンシャルの分析はワイン産地の中でブドウ栽培エリアの特徴をマッピングするのが目的です。つまり、生産高の管理、地質データベースの活用、栽培方法管理等を行うことで最高のワインを造る為に最高のブドウを造ることを第一として地理情報システムを活用しています。

トカイ・ヘジャイヤ ワイン産地のうちワイン用ブドウの栽培に適した5,500㌶のブドウ畑の分析には21世紀の技術で地形的な特徴や土壌を調べ、歴史のデータ衛生画像を使用して気候についても分析しています。

分析の過程で、データからそれぞれのブドウ畑でのブドウ栽培の目標値やブドウ畑にあったブドウ品種を定めました。

傘下に1400軒ものブドウ農家を抱えている為、高品質のワインの為に質の高いブドウを原材料として収穫するためには地理情報システムが非常に重要です。

全ては、「ワインは良いブドウから」というグランド・トカイの考えが根底にあります。

②トカイの伝説的醸造家
カーロイ・アーチさんが造ったエッセンシア1999は、アメリカワイン誌「ワイン&スピリッツ」で100ポイント、エッセンシア2007がロバート・パーカー100ポイントを獲得したことで、カーロイさんは伝説的なトカイ地方の偉大なる醸造家と呼ばれています。カーロイさんの力を借りて、2016年、グランド・トカイは生まれ変わりました。

所有する67ヘクタールのブドウ畑で最新の注意を払って収穫されたブドウと、小規模ブドウ畑オーナーが所有する1,000ヘクタール以上のブドウ畑から厳選したブドウを購入し、ワイン醸造をしています。

2020年、カーロイさんはワインメーカの中のワインメーカー賞を受賞しました。選ばれた50人のハンガリー人醸造家の投票によって決められるこの賞は、ハンガリーの醸造家の頂点に立つという意味で非常に名誉ある賞といえます。

「ワインはワインを作る人の内面を映し出すと思うのだよ。ワイン醸造家その人自身が幸せでなければどうやって素晴らしいワインをつくることができるのだろう?私は奇跡とも思えるほど幸せな事にトカイ・ヘジャイヤ地方に生まれ育ち、ワイン作りという自分の好きな事を生業にしている私は本当に幸福だと毎日感謝しているよ。自然の恵みに感謝し、ワインを作り、私のワインを飲む人々に喜びをもたらすことでお返しをするこが私の使命だと思っているんだ。」とカーロイさんは言います。25年のワイン醸造経験を持つカーロイさんがトカイ地方でワイン醸造を始めたのは自然なことでした。

グランド・トカイが世に送り出すワインはカーロイさんの内面を映し出し、幸福感と生きる喜びに満ち溢れている為、「幸福のワイン」と私たちは呼んでいます。

グランド・トカイのワイン